今回の記事は同人TRPGの紹介です。かりかりうめ発行『カムズ 秋のたそがれの国』、2017年12月に初版が出ていますが、参照しているのは2019年12月発行の3刷になります。テキストセッションで遊ぶ機会ができたため興味を持ち購入しました。本稿執筆時点では、まだセッションは行っておりません。
公式情報
かりかりうめ(https://twitter.com/karikariume_rpg)
公式作品・サポートページ https://www.karikariume.com/comes
西洋童話風の世界を舞台にしたナラティブ重視のシステムになります。栄光と繁栄に満ちた「夏」の時代が終わり、不思議なものや怖ろしいものとの接点が増えつつある「秋」の時代が舞台です。
物語重視ということで、キャラクターシートの内容もかなりシンプルで、能力値は「勇気・知恵・幸運」の3つ。あとは特徴が3つ。8種のバッドステータスが重要なシステムなため、予めそのチェック欄がキャラクターシートに用意されています。ヒットポイントではないですが、「運命の瑕」という欄がバッドステータスを受けるたびに累積していきます。これはまさしくPCの運命がどれだけ瑕ついているかを示し、セッションのラストでそのキャラクターがどのような運命をたどるかに大きく関わります。
プレイヤーの数が2名と固定されており、キャラクターシートの能力値「勇気・知恵・幸運」欄には、パートナーの数値を記載する欄もあります。これは実用上も重要で、判定時にパートナーと同じ能力地のダイス目を交換できます。このため、パートナーの能力値を把握することは必須になり、キャラクターシートに記載欄があるわけです。
ルールブック p.23 「ゲームの準備」には、プレイ時間の指針としてオフラインセッションで2時間、テキストベースオンラインセッションで3-5時間という記載があり、キャラクター作成を含めて?と初読時には思いましたが、システムの特徴を踏まえると実際にこの範囲に収めることは十分可能と思われます。
プレイに使用される「BSカード」「運命カード」「妖精の輪」「妖精トークン」などはかなり凝ったデザインをされており、オンセ/オフセともにプレイの雰囲気作りにかなり役立つことでしょう。
サイコロ・フィクション以降に一般化したと思われるセッションの構造化はこちらのシステムでも行われており、掲載されているリプレイの雰囲気を楽しめ、嗜好を同じくする者同士なら初心者同士でも破綻なくセッションできるように感じます。シナリオも8本付いており、サポート体制も十分です。
(※サイコロ・フィクション第一弾は2008年9月発刊の『ご近所メルヒェンRPG ピーカーブー』なため12年も時が経てば、意識すらされない当たり前のテクニックとなると思われる。)
卓には参加しておりませんが、オフラインコンベンションで同サークルの別作品『灰色城綺譚』が立卓されているのは見ており、ある程度の固定ファンがいるサークルさんと思われます。
<付属シナリオの概要紹介>
シナリオ1「パンのいざない」
半人半獣の妖精、パンに出会うシナリオ。
配役:幼い兄弟や姉妹。病気を患った母親がいる。父親はおらず、ほとんど覚えていない。
シナリオ2「地下の小人と人食い鬼」
道で地下に住む小人と人食い鬼に出会う話。
配役:
PC1 騎士や貴族といった責任ある人物。もしくは好奇心旺盛な少年少女。
PC2 PC1の友人、仲間、兄弟、家族。
シナリオ3「墓地を彷徨う女」
墓地で女の幽霊と出会うシナリオ。
配役:墓守・修道士・墓荒らし・肝試しの少年少女
シナリオ4「薄暮の旅人たち」
黒い森でPCたちが出会ったものとは。
配役:森で迷っている人物。互いは親密な関係。
シナリオ5「成人の洞窟」
村近くの洞窟に成人の証となるものを見に行く話。
配役:今年の新成人
シナリオ6「絵に描いた牢獄」
絵の中に入り込んでしまう話
配役:好事家、芸術家
シナリオ7「甦りし屋敷」
雨宿りに立ち寄った奇妙な屋敷で起こる出来事とは。
配役:旅人
シナリオ8「魔女の予言と四つの試練」
PCたちの前に現れた魔女は四つの試練へと挑む予言を残した。
配役:
PC1 放浪の王子、不思議な徴を持つ少年
PC2 英雄の介添人。従者、友人、双子の兄弟姉妹、姫君。
どうでしょうか?これだけのシナリオ情報でも、システムが訴求するセッションの方向性、「西洋童話風の世界と物語を登場人物として体感する」はくっきりとイメージできたのではないでしょうか?
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